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Special Issues - Interview

生産者の“リアル”を伝え
一杯のコーヒーからより良い世界を

住商フーズ株式会社

商社としてフェアトレード認証のコーヒーとゴマの輸入に取り組む住商フーズが、日頃どのようにフェアトレードに取り組んでいるのか、普及のためにどのような工夫をされているのか、お話しを伺いました。

─  どのようにフェアトレードに取り組まれていらっしゃいますか?
住商フーズ:弊社は住友商事100%出資の食品専門商社です。“World Food Curator”として、世界中の食材と食に関する様々な情報を収集・整理して、そこに新たな解釈を加え、お客様のニーズや調達先の実情に合った最適解の提案と実現を目指しています。弊社では、コーヒー、ゴマの輸入・販売にてフェアトレード原料の取り扱いがあり、加えて、フェアトレード認証バナナについても、取り組みに向けて検討を進めています。フェアトレード認証コーヒーについては、6か国・8農協との取引があり、長い所では20年近く取引している農協もあります。1回だけの取引ではなく、長期的な取引をベースにしています。既存のお客様だけでなく、新たにフェアトレード認証を始めようとしている焙煎業者に同認証の仕組みをお伝えする他、勉強会の開催なども行っています。
─  フェアトレードへの取組みをはじめられた背景(意図/理由)を教えてください。
住商フーズ:開発途上国の人口の過半数は農業従事者であり、コーヒー生産は、開発途上国における貧困や環境の問題と密接に関わります。当時の担当者の強い想いと会社の方針から、サステナブルな取り組みを行うべく、フェアトレード認証の輸入・販売を開始しました。当初、賛同頂ける焙煎業者はさほど多くはいませんでしたが、一度開始頂いた焙煎業者では継続的に購入頂き、その取り組みがフェアトレード認証認知拡大に繋がっています。
─  フェアトレード事業の展開を開始する中で、どのようなご苦労や障壁があったでしょうか。またそれらにどのようにご対応していますか?
住商フーズ:商品の展開については、焙煎業者の皆様が創意工夫し、少しずつ認知度や消費が拡大していると思いますが、新たにフェアトレード認証を紹介する際には、“価格面”や“他の認証との差別化”、“品質面”についての擦り合わせが非常に難しく、実現に至らなかった事も多くあります。また、生産者の要望と焙煎業者のニーズの擦り合わせは現在も課題があると考えており、そのギャップの調整を行うのが、弊社の役割だと考えています。
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品質を上げる為にエチオピアでは手でより分けています(オロミア農協)
─  商社という立場でコーヒー生産地を訪問もされ、生産者との距離も近い貴社として、メーカーや小売企業などにフェアトレードコーヒーを提案する際に工夫されていることや特に伝えているポイントは何ですか?
住商フーズ:実際に産地訪問した時の生の情報を元に、“リアル”な現状をお伝えする事を心掛けています。また、その上でメーカーの方が消費者に販売しやすいような謳い文句や品質面に関する情報など、訴求ポイントを明確にしています。その他、メーカーの調達だけではなく、関係する皆様に同認証を知って頂く事を目的として、FLJに協力してもらって勉強会の開催も行っています。
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メキシコチアパス州に属するイスマム農協生産者の皆さん
─  フェアトレードを進める中でのやりがいや、効果を感じることは何でしょうか。生産国とのコミュニケーションの中で感じられることやフェアトレードがもたらす効果・変化があれば教えてください。
住商フーズ:長年フェアトレード認証コーヒーの取引を行っている生産者からフェアトレードプレミアムの使途について報告があり、医療設備の充実や教育関係に使用される事など生活改善に繋がっている事が分かった時にやりがいを感じます。また、プレミアムの一部が生産量や品質向上にも充てられ、年々品質評価も上がっています。品質に対する要望も少しずつ生産国側にも浸透している点が変化の1つと考えています。
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ペルーの生産者が丁寧に作り上げたコーヒーです
─  貴社/ご担当者様が考えられるフェアトレードの魅力とはなんでしょうか?
住商フーズ:1杯のコーヒーから誰もが始められるSDGsの取り組みであり、自然と毎日続けられる取り組みという事が魅力と感じています。
─  今回のミリオンアクションキャンペーンについてご意見やコメントがあれば教えてください。
住商フーズ:キャンペーンを通じてこれまでフェアトレード認証を知っている人もそうでない人も、是非この機会に生産国の現状について考えてみて欲しいと思います。生産国側もフェアトレード認証だから甘えるのではなく、品質向上を目指し、品質に見合う価格で取引される事が本当の意味のフェアトレードだと思います。その一歩となる手助けを我々商社の立場から1つずつ行っていきたいと思います。
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農協長自らコーヒーについてレクチャー頂きました
─  今後の展望について教えてください。
住商フーズ:既存の生産者並びに焙煎業者との関係を強固なものにする為に、求める品質について生産者に丁寧にお伝えすると共に、焙煎業者とも擦り合わせの時間をしっかり設ける事が大切です。また、新規アプローチの際には、フェアトレードのしくみも含めてお客様にご理解頂き、品質面でも優位性のあるアイテムを紹介する事を心掛けています。日本国内のフェアトレード市場拡大に大きく寄与したいと思います。また、これまで大学生との交流なども大切にしていますので、企業同士での関係だけでなく、産学民でフェアトレードを盛り上げられれば良いと考えています。

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