期間

 

生産者と消費者を繋げる架け橋に

リアルを届ける担い手としての取り組み

住商フーズ株式会社

食品専門商社としてフェアトレード認証のコーヒーとゴマの輸入に取り組む住商フーズ。コロナ禍を経て、フェアトレードへの取組みや社会からの反応の変化などについて、原料第一本部 フードマテリアル第一部 スペシャリストの宮垣さんにお話しを伺いました。

─  まずはフェアトレードについて、貴社の取り組みをお聞かせください。
宮垣さん  弊社は住友商事100%出資の食品専門商社です。“World Food Curator”として、世界中の食材と食に関する様々な情報を収集・整理して、そこに新たな解釈を加え、お客様のニーズや調達先の実情に合った最適解の提案と実現を目指しています。弊社では、コーヒー、ゴマの輸入販売にてフェアトレード原料の取り扱いがあり、加えて、フェアトレード認証バナナについても、取り組みに向けて検討を進めています。フェアトレード認証コーヒーについては、5か国・6農協との取引があり、長い所では20年近く取引している農協もあります。新たに4か国の農協とコミュニケーションを行っており、日本のお客様のニーズに併せてアイテムの紹介をしております。また、1回だけの取引ではなく、長期的な取引をベースにしています。既存のお客様だけでなく、新たにフェアトレード認証を始めようとしている焙煎業者に同認証の仕組みをお伝えしております。また、フェアトレードの勉強会や講演も行っており、3月に開催された“フェアトレードむさしの”のイベントでも登壇させて頂きました。
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コーヒーを収穫する(ベトナム)のコーヒー生産者
─  コロナ禍で社会的に大きな変化があった中、フェアトレードの取引においてどのような課題やご苦労があったでしょうか。またそれに対して、どのように工夫されてきたでしょうか。
宮垣さん  コーヒーの先物市場や輸送費の高騰、為替変動の影響から原料価格が高騰したのは周知の事実かと思いますが、弊社お客様含めましてコスト上昇についてご理解頂くのに苦労しました。また、生産国での認証に関する監査が遅れたことや輸送する際に使用するコンテナや本船のスペースが逼迫している事から想定よりも大幅に輸送が遅れた事もありました。これまで直接生産地を訪問して現地の状況を確認しておりましたが、コロナ禍に入ってからは、現地事務所の協力を仰ぎ対応する事や農協(兼輸出業者)とオンラインでの面談を行う事で、1つずつ対応して参りました。特に昨年末はエチオピア内戦の影響から契約・船積み・日々のコミュニケーションについて苦労しました。簡単に代替出来るアイテムでもない為、弊社として供給の目途を付ける事に追われる日々でしたが、最終的には無事日本へ輸入する事が出来ました。
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1粒1粒丁寧に乾燥しているエチオピアの生産者の方々(エチオピアオロミア農協)
─  社会が大きく変化してきている中、SDGsの認知拡大もあり、ますますサステナビリティに対する動きが大きくなっています。フェアトレードへの反応にはどのような変化を感じていらっしゃいますか?
宮垣さん  5年前と比較して、明らかにフェアトレード認証の引き合いが増えております。お客様の様々なニーズに応える為、産地開拓や+αの付加価値を見出す事も行っております。コーヒーの種類や飲用方法など多様化しておりますが、やはり消費者として一番は味わいや風味などの品質に関する事で、この点フェアトレード認証コーヒーは安定した品質のものが多いという印象です。また、これまでターゲットとしていなかった若年層への発信を強化している企業も多く、Z世代への関わりが非常にポイントとなる気がしております。価格面でまだまだハードルはあるかと思いますが、パッケージデザインの工夫やトレーサビリティの強化などで、フェアトレード認証の価格の意味をしっかり発信している企業様が増え、そのコーヒーのファンになっている消費者も少しずつ増えている印象です。
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ホンジュラスCOMSA農協にて。品質向上に力を入れております。
─  フェアトレードのお取組みで、特に力を入れていることや工夫されていることなどをお聞かせください。
宮垣さん  商社として、安定的な供給を目指す事はもちろんですが、最近では産学連携等、若い世代との接点を多く持っております。青山学院大学のフェアトレードラボとは、メーカー様のコラボを実現させ、SNSを用いたフェアトレード認証の周知を行いました。また、フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)のインターン生との座談会を行い、Z世代が考えている課題や企業に対する期待など意見交換を行いました。具体的な施策についても現在社内でも検討しており、住商フーズならではの企画や展開が出来ればと考えております。
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Z世代との座談会を行い、若い世代の声を積極的に取り入れています。
─   今回のミリオンアクションキャンペーンについて、ぜひご意見やコメントをお願いします。
宮垣さん  今回のキャンペーンを通じて一人でも多くの人に生産国のリアルを知って頂き、フェアトレード認証製品をお手に取って頂ければと思います。その一歩となる手助けを我々商社の立場から1つずつ行っていきたいと思います。
─  今後の展望についてお聞かせください。
宮垣さん  これまでお取引のある生産者やロースターとの強固な関係を築く事はもちろんですが、その中で新たな価値を作り出し、安定且つ飽きさせない取り組みが出来ればと考えております。また、新規のご提案の際には、フェアトレードのしくみも含めてお客様にご理解頂き、品質面でもご納得頂けるような原料の選定・供給が出来ればと考えております。コーヒーやゴマだけでなく、その他の原料についても取り扱いを検討し、日本国内のフェアトレード市場拡大に大きく寄与したいと思います。
─  日頃フェアトレードの推進に取り組んでいらっしゃる宮垣さんから、今年のキャンペーンテーマ「サステナブルな未来のためにできること」に寄せて、ぜひメッセージをお願いします。
宮垣さん  私たちの孫世代以降も美味しいコーヒーが飲める素敵な未来の為に、フェアトレード認証の周知・拡大に取り組みたいと思います!!
Interview
住商フーズ株式会社
原料第一本部 フードマテリアル第一部
スペシャリスト 宮垣 雄太さん
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写真左:エチオピアの生産者との1枚

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