作り手と買い手 両方への責任
ワタル株式会社
ワタル株式会社は、コーヒーの専門商社としてフェアトレードコーヒーも取り扱っておられます。フェアトレードの取り組みを始められた背景や同社の描く未来について伺いました。
フェアトレード産品の調達と普及の、両方に注力
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まずは、貴社におけるフェアトレードのお取り組みについて教えてください。
「スペシャルティコーヒー」という言葉を聞くと皆さんは「風味が素晴らしいコーヒー」というイメージを即座に思い浮かべられるかもしれません。しかし「風味の素晴らしさ」のみがスペシャルティコーヒーの全てを表すわけではありません。近年ではそのトレーサブルな側面やサスティナブルな側面においてもスペシャスティコーヒーは世界で高く評価されています。そのようなスペシャルティコーヒーとフェアトレードコーヒーとの間には大切な共通点があります。それはコーヒー生産国の、特にコーヒーを実際に栽培しているコーヒー産地エリアの社会と暮らしの発展に多くの貢献を果たしているという点です。
ワタル株式会社はスペシャルティコーヒーに力を入れるインポーターですが、フェアトレードコーヒーの消費国での普及にも力を入れ、コーヒー生産国の生産者の暮らしと地域社会への社会的に責任を果たしていくことを使命としております。
コーヒー生産者に対する責任を果たしたいとの想いから辿り着いた、フェアトレードコーヒー
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貴社は、他社に先駆けてフェアトレードの取り組みを始められました。国内でもいち早くフェアトレードに着目されたのには、どのような背景があったのでしょうか?
弊社は1947年の創業以来、コーヒー生豆の専門商社として日本のコーヒーマーケットに貢献してまいりました。コーヒーの価格は先物市場に左右されるため、コーヒー生産者にとって決して好ましい状況とは言えません。長年コーヒーを取り扱う中で生産者に対しても責任を果たしていきたいと考える中で、自然とフェアトレードコーヒーに辿り着きました。2002年から、エチオピアやグアテマラ、コロンビアなどの農協とともにフェアトレードに取り組んでいます。

コロンビア ANEI農協の皆さんと
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スペシャルティコーヒーを扱う商社として、フェアトレードを通じた「サステナビリティ」とコーヒーの「美味しさ」の両立についてどのようにお考えでしょうか?
生産国への社会的責任の追求だけではなく、フェアトレードコーヒーに対しても品質の高さや美味しさの両立が求められています。弊社はフェアトレードコーヒーの輸入と普及を通してこれからも日本のコーヒー消費市場への品質に対する責任とコーヒー生産国の生産者に対する責任を追い求めていきたいと考えています。
生産者と消費者、それぞれにとっての“あたりまえ”をずっと両立させていきたい
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今年度のミリオンアクションキャンペーンのテーマは「あたりまえを、ありがとう」です。フェアトレードを通して守っていきたい今の“あたりまえ”や、これから“あたりまえ”にしていきたいことを教えてください。
消費者がコーヒーを楽しめる「あたりまえ」と生産者が安心してコーヒー栽培に取り組むことのできる「あたりまえ」の実現を目指したいと考えています。
現在、日本には様々な形のコーヒーとコーヒーシーンを楽しむことが出来る環境があります。たとえば缶コーヒー、自分で手軽に淹れるレギュラーコーヒーやインスタントコーヒー、昔ながらの喫茶店やカフェ、コーヒー専門店など、場所の多様性や味わえるコーヒーの種類の豊富さは世界随一と言っても過言ではないでしょう。
しかし、日本においてそのような「あたりまえ」を楽しむことができるのは、コーヒー生産者はもちろんのこと輸出業者や物流業者などコーヒー周辺をサポートする多くの人々によって支えられています。現在、コーヒー生産者は気候変動によって様々な困難に直面しています。またコーヒー生産の将来の担い手が少なくなってきているといった後継者問題も起きています。
しかし、日本においてそのような「あたりまえ」を楽しむことができるのは、コーヒー生産者はもちろんのこと輸出業者や物流業者などコーヒー周辺をサポートする多くの人々によって支えられています。現在、コーヒー生産者は気候変動によって様々な困難に直面しています。またコーヒー生産の将来の担い手が少なくなってきているといった後継者問題も起きています。

オロミア農協集荷場(エチオピア)
弊社はフェアトレードコーヒーを通して我々が消費国で楽しむことが出来るコーヒーの「あたりまえ」と同時にコーヒー生産国の生産者が「あたりまえ」に安心してコーヒー栽培に取る組むことができるような生産国における「あたりまえ」の社会環境作りも追い求めていきたいと考えています。